「…無理…」


無理なのはこっちの方だッ


「襲うなぁー!!
 退けぇぇぇぇ!!」


半分発狂気味になったせいか
少し驚いた様子の陽向さん。

その隙を見て全身全霊で陽向さんを押し返すと
急いで体を起こし
拒絶するようにベッドから降りた。


なんとも危機一髪ッ
危うく一線を越えるところだったわッ


「セツナ…」


拒絶された事にショックを受けたのか
ベッドの上で茫然としている陽向さん。


「ごめん…
 でもアタシは
アナタを受け入れる事は出来ない…」


それだけ捨て台詞のように吐くと
そのまま部屋を飛び出してしまった。

もうアルコールがどうだとか関係ない。


落ち着けアタシ。
愛とか恋とか関係なく
過去に縛られてるから
“そういう行為”を思い出すだけ。

そんなシチュエーションになれば
誰だって思い出す…はず。

流されちゃいけない。
アタシはあの時の悲しみを乗り越えて
吹っ切れたんだから。

いちいちこんな事に一喜一憂されて
気持ちが揺れるなんて
あり得ないッ


「…ッ」


なのに、どうしてだろ
胸が…苦しい―――