「どう説明したらいいのか…。
 とりあえずオレは彼女に
 何もしてないよ」


“オレ”と発した吹雪さんの言葉に
最初に驚いたのは煌月だ。

そりゃそうだ。
アタシ同様
ヤツだってこの事実は知らないんだから。

そして
自由人な吹雪さんは
その場で煙草を吸おうとするが。


「ココで吸うな!」


と、陽向さんの殺意が籠った制止に
彼は渋々煙草を箱に戻した。

それには煌月もホッとした表情を浮かべた。
アタシに煙草がダメだって事は
2人はわかっているらしい。


「仕事の話をしたかったのと
 セツナさんの事を知りたくてココに来た。
 それでそこに置いてあるオレが持ってきたワインを
 乾杯しようかなって思って少し飲ませたんだけど…
 思ったより耐性がなかったみたいで
 酔って寝ちゃったんだよ」

「お前…
 正体隠して近付いたのか?」

「言おうとしたよ。
 だけどその前にこんな状況。
 もっと早く言えば良かったなとは思ってるよ」


この会話に
1番ついて行けてないのは
誰よりも煌月だった。

吹雪さんが男だって事は
誰も伝えてないのだから無理もない。