「ダメだ…
少し横になりたい…」


吹雪さんが男だとわかって
そんな人の前で横になるなんて
絶対しちゃいけないし
あり得ない事だとは理解してるけれど
今は余裕がない…


「え、ちょッ」


倒れるように傾くアタシに
吹雪さんはヤバいと思ったのか
慌ててアタシの背中に手をまわし
倒れ込まないように支えながら
その場に横にしてくれた。



薄れゆく意識の奥で
小さく聞こえてくるのは
吹雪さんの声…


「おいおいおい…それはダメだって…
 さすがにこっちもそれなりに抑えてんだから
限界になりそうだ…」


と――――


「さて…
 どうしたモノか…」


グーグー眠るアタシを前に
困った様子で頭を抱える吹雪さん。

初めてきた女の家でカミングアウトして
当人は酔って寝落ちし
残された彼はこの場をどうしたらいいモノか
本気で悩んでいるようだ。


考えて出した答えは。
【困ったときの“友頼み”】


「あ、悪いねアルト」


とりあえず陽向さんに電話をしたようだ。


『どうしたんだ?』

「ちょっと電話だと説明しづらいから
 今からセツナさんの家まで来てくれないかな?」


詳細説明ゼロ。