この人、今…
“男”って…言った?


「もっと早く言うつもりだったんだけど
 ちょっと確かめたい事もあったり
 仕事的に素性を明かせない理由もあったりで
 このタイミングになってしまったんだけど…」


あまりに唐突すぎるカミングアウトで
思考が完全にフリーズしてしまった。


陽向さんの彼女だと思ってた美人が
実は男でした。って…
え、何?何かのドッキリっすか?


「さすがにこのまま言わずにいるのは
何かと問題かなと思って…」


問題なんて大アリだ。
知らずにアタシは男を家に迎え入れてんだから。


「セツナ…さん?
 大丈夫…かしら?」


吹雪さん一点を見つめたままのアタシに
彼女…いや、彼か?
心配そうな表情を浮かべている。

大丈夫なワケがない。
聞きたい事は山ほどあるし
頭ん中も整理したいのに
こんなオチは考えていなかったおかげで
未だ信じ難い現実に戸惑ってんだよ。


「ちゃんと1から説明しなきゃよねッ」

「ひとまず今は…大丈夫です」


頭がグルグルしてるのは
混乱のせい?
それともワインのせい?
どっちもだろうな。