「ざまーみろ」
「…隆ちゃん、なんか今日、黒くない?」
呟いたつもりが、弥生にばっちり聞こえてたみたいだ。
そう言われて目線を弥生に戻すと、口元にご飯粒をつけている弥生。
俺は思わず吹き出して、弥生に教えてやろうとした。
「ふっ…、弥生、」
「え、え?何、なんで顔見て笑うの?…隆ちゃん!?」
「だってお前、顔に――」
そこまで言って、やめた。
弥生は気になってしょうがないらしく、「ちゃんと言って!」と、半ば叫んでいる。
俺はそんな弥生を無視して、机ごしにいる彼女の肩に手を置き、身を乗り出す。
「え、隆ちゃん、どうし――」
「…黙って」
耳元でそう囁くと、面白いように黙った弥生の頬についたご飯粒を、俺は舐め取ってやった。
何人かの女子が、息をのむのが分かった。