聞き取れなくて、じっと佐倉先輩を見つめると、はぐらかすように微笑まれる。



「……ま、一応事情はわかったよ。静香ちゃんは和泉が大好きで、でも気持ちは隠したいんだね」

「はい……」



こくりと、深く頷いた。



「それじゃあ秘密にしててあげる」



あっさりとそう言ってくれた佐倉先輩に、心がストンと軽くなる。



「ほ、ほんとですか……!ありがとうございます……!」



よかった……!

佐倉先輩がそんなこと言いふらす人じゃないってわかってたけど……安心した……。

ほっと、胸をなで下ろす。



「その代わり、俺のお願いも聞いてほしい」



安堵したのもつかの間、佐倉先輩の台詞に首を傾げる。