あまりにも突然過ぎて、遥から目が離せない。

ドク、ドク、ドク、と心臓が早鐘のように鳴り、久しぶりに見る遥の姿に胸がキュッとなった。


私は遥と離れてこんなにもダメージを受けているのに、彼はいつもとなんら変わりはないように見えて。


だけど悔しいと思う反面、遥の姿を見る事が出来て堪らなく嬉しいと思ってしまう自分がいる。



ついジッと見つめて目が離せないでいると、女子社員に書類を見せながら何かを告げ、ふと顔を上げた遥と目が合った。



ドキリ───、と心臓が大きく跳ねる。



少しだけ目を見開いた彼は、次いですぐに目を細めた。
一瞬だけ切なそうな瞳を向けられたかと思うと、すぐに逸らされてしまい。

その彼の態度に、ショックの色が隠せなくて呆然としてしまう。



……それは、遥が私に会いに来たのではなく、あくまで仕事で来たのだと彼の態度が物語っていたからで。



どこまでも期待して自惚れていた私は、一瞬にしてどん底に突き落とされた。


私がただ呆然としている間も、遥は仕事の要件を女子社員に伝え終わるとすぐにこちらに背を向ける。


その姿に想いが一気に込み上げて来て、ギュウッと苦しくなった。

目頭がジワリと熱くなり、目の淵に涙が溜まってくるのを感じながら彼の後ろ姿をジッと見つめる。

だけど遥の姿が見えなくなると、ハッと何かに突き動かされたかのように席から立ち上がり、彼を追い掛けるように私はフロアを飛び出していた。