あれから私は、迷いに迷って実家へと向かった。
と言っても実家は今、誰も住んではいない。父が単身赴任する事になり、母がついて行ってしまったからだ。
両親は一ヶ月に一回は帰って来ているようだけれど、それ以外では一人っ子の私が、家の掃除と換気を時々お願いされている状態で。
母が父について行くと知った時は寂しいと思っていたけれど、今は誰もいない事に心底ホッとしていた。
あれこれ聞かれなくて済むし、住み慣れた場所で気兼ねなく一人で過ごせるからだ。
だけど最後まで迷っていたのは、行く宛のない私が行くところなんて、どうせ実家だろうと遥に見破られるのが悔しいと思ったから。
でもそれは、遥が……私を心配していればの話だけれど。
あの日から、今日で四日が経った。
最初の日こそ次の日が休みだった事もあって、泣き暮れていた私だったけれど、次第にそれも収まりつつあって。
まぁ、収まったというより、現実逃避とでもいうのか。
私の中でまだ、遥が私を捨てるわけがないという自惚れが根強くあるがばかりに、もし仕事帰りに待ち伏せされていたらと自惚れた事を思っては、早く帰ったりわざと遅く帰ったり。
携帯だって、常に肌身離さず持っていて。
………だけど、遥から会いに来てくれる事は愚か、連絡すら来ない毎日で。
こんなに遥から何も言って来ないなんて、付き合っていた時でさえもなかった事だった。
日々自分の行動の虚しさを突きつけられる中、私も大概……諦め悪くてバカだなぁと思う。
だってそれはもう、遥の中で私は。
───……一番ではないって事なのだから。