……そう。

写真を撮られていた、それだけなのに。

それが『私の知らないところで』、というのが、どうしても私の中で燻って消化出来ない。

彼の行動が私には理解出来ない、だからこそ彼が得体の知れない人物に感じられて、怖いと思ってしまう。




私が自宅に戻ってから、遥からすぐに電話があった。

……何も告げずに出て来たのだ、当たり前と言えば当たり前だけれど。

でも、今は彼の側に居たくはない。
それに勝手にパソコンのファイルを見てしまった手前、遥がそれに対してどういう風に言ってくるのかも分からなくて、怖いと感じてしまった。

だから私は電話には出ずに、急いでメールを打った。
急用が出来て帰らなければならなくなった、と。


遥に真実を問い質さないといけないと思っているのに、真実を知るのが怖いと思っている自分もいる。

……私は、遥と離れたいの?
それとも、まだ側に居たいの……?

自分の気持ちなのに、まだ混乱しているせいか、どうしたいのかハッキリとは分からなくて。


しばらく考える時間が欲しいと思った私は、それから遥を避け続けた。

遥も遥で、薄々私の行動の意味に勘付いているのか、ことごとく会う事を避けている私に何も言っては来なかった。

それどころか、私が開きっぱなしで帰ってしまったアルバムのファイルについて、不自然な程メールでも電話でも触れる事はなくて。

それがかえって、私の不安を煽った。