一気に色んな感情が込み上げてきて、ポタポタと、瞬きと共に大粒の涙が零れ落ちる。




こんなに、───こんなに、遥の事を好きになった後に。


───……こんな仕打ちは、あんまりだ。




悔しくて、悲しくて、苦しくて。

頭の中も、心の中も……グチャグチャで。


だけど、フッと頭の中で、もうダメだ、と思った。

彼等が今後、どうなろうとしているのかは分からない。
だけど私はもう、これ以上、遥を受け入れる事は出来そうにない。


まだ心の整理なんて全く出来ていないし、遥と離れる事も苦しいと思うけれど、一緒にいるのは……きっともっと苦しい。

遥に何も聞いていないので、私の勝手な思い込みかもしれないと分かってはいるけれど。


……今日見た、二人の姿が頭から離れない。


それに───。

正直もう、自分の中で、二人の関係を否定出来るだけの要素が見当たらない。

それでも、私達はただのカップルというわけではないのだ。
“夫婦”という括りで縛られている以上、遥と話をしないわけにはいかない。



頭に───、“離婚”の二文字が浮かぶ。



だけど瞬時に、その思考を追い出した。


小さい頃から憧れていた、結婚。


遥とは、色々問題もあったけれど、今日まで私はなんだかんだで幸せだった。

勢いだけで、決めて良い事じゃない。

とにかく、遥が帰ってくるのを待とう。
それから、今後を冷静に考える時間をもらう為に、少しの間、遥の側から離れよう。


そう決心した私は、グッと涙を拭って立ち上がった。