幸せそうに笑って写っている自分の写真を見て、この瞬間の、何も知らなかった自分に戻りたい、と叶わぬ事を願ってしまうけれど。
……知らなかった頃の自分には、もう、どんなに頑張っても戻れない。だったら───。
私は意を決して、もう一度ロックの掛かっているファイルをクリックする。
パスワードの表示が現れて、鼓動が早くなるのを苦しいと感じながら、ひとつ、ひとつ、文字を入力して行く。
最後のアルファベットを押した後、極度の緊張からか自分の指先が酷く冷たく、痺れすら感じて来た。
小さく深呼吸を繰り返して、実行キーの上へと指を置く。
───開かなければ、いい。
そうしたら……このまま諦めるのに。
自分の今の行動とは真逆の矛盾した事を願いながら、実行キーを押して堪らず目を閉じた。
……いや、こうしていても何も変わらない。
ドクドクと、煩いくらいに早まる鼓動に胸元のコートをギュッと握り締めながら、ゆっくり、ゆっくりと目を開いて行く。
───……ああ、……やっぱり。
目の前の開かれてしまったファイルに、一気に私に絶望が押し寄せた。
中には、三枚の写真が入っていて。
その、どれもが。
─────………冬香さんだ。
……知らなかった頃の自分には、もう、どんなに頑張っても戻れない。だったら───。
私は意を決して、もう一度ロックの掛かっているファイルをクリックする。
パスワードの表示が現れて、鼓動が早くなるのを苦しいと感じながら、ひとつ、ひとつ、文字を入力して行く。
最後のアルファベットを押した後、極度の緊張からか自分の指先が酷く冷たく、痺れすら感じて来た。
小さく深呼吸を繰り返して、実行キーの上へと指を置く。
───開かなければ、いい。
そうしたら……このまま諦めるのに。
自分の今の行動とは真逆の矛盾した事を願いながら、実行キーを押して堪らず目を閉じた。
……いや、こうしていても何も変わらない。
ドクドクと、煩いくらいに早まる鼓動に胸元のコートをギュッと握り締めながら、ゆっくり、ゆっくりと目を開いて行く。
───……ああ、……やっぱり。
目の前の開かれてしまったファイルに、一気に私に絶望が押し寄せた。
中には、三枚の写真が入っていて。
その、どれもが。
─────………冬香さんだ。