パソコンを抱えたまま、ゆっくりとベッドに腰掛ける。

ホーム画面が表示されてから、デスクトップのアイコンにサッと視線を走らせた。



……あった。



指先まで心臓になってしまったのかと思うくらい、ドク、ドク、と心音に合わせて、右手の指先がタッチパッドの側で大きく揺れる。

一度ギュッと拳を握ってから、再度ゆっくりと拳を開き、そっとタッチパッドに乗せた。


……怖い。だけど、確認したい。


目的のアイコンへとカーソルを動かし、目をつぶりたい衝動に駆られながらダブルクリックする。

フォルダが開き、中には見覚えのある数十個のファイルがあって、ドクリ──、と心臓が大きく跳ねた。



───……見るのは二度目といえども、やっぱり今でも動揺してしまう自分がいる。


私が今開いたのは、前にも一度見た事のある、遥の“アルバム”のフォルダだ。


出来れば思い出したくはなかったけれど、初めてファイルを見てしまったあの時───。

このフォルダの中に、一つだけ……ロックが掛けてあるファイルがあったのを思い出したのだ。


あの時は他の写真ファイルへの衝撃が大き過ぎて、ロックが掛かっているし、と怖くてあえて触れなかった。

そして時と共に、その存在さえ忘れそうになっていたけれど。

遥の写真好きな性格からして、過去に冬香さんの写真を一枚も撮っていないとは思えない。

そう思った時、思い出したのが、あのロックの掛かっていたファイルの存在だった。