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「……なるほどね。浮気云々かなとは思っていたけど、まさか相手が妹だとは……中々ヘビーな話だね」


ガラスのローテーブルを挟んで優香の向かい側に座る私は、彼女の唸る声を聞きながら、コーヒーカップを握り締めて俯いた。


「でもさ、それって相良さんには確認してないんでしょ?」

「そう、だけど……、」


尻すぼみしながら答えると、優香が小さく溜息を吐いた。


「まぁね、夏美目線で私が思った事を話すのは簡単だよ。だけど私はあくまで第三者だし、夏美の話しか聞いてないわけだから、偏った意見しか言えないわけ。それでも、私の意見を聞いてみたいと思ってる?」


思わずハッとして顔を上げると、優香が小首を傾げながら肩を竦めてみせた。

……確かに、優香の言う通りだ。

彼女は私が聞いて感じ取った事しか聞いていないわけで、遥にも、冬香さんにも話を聞いたわけじゃない。

偏った私寄りの意見しか出て来ないのは、きっと当然で。

それを聞いて、私が満足するのか、もしくは不安が解消されるのか。

そう、聞きたいんだ。

そして、それじゃ満足もしない、不安も解消しないって事ならば、遥とちゃんと話をするしかないんじゃないの、と言いたいのだ。