人間の本能って、本当に不思議なもので。

いつもは見ないようなフォルダの並びに、何故か今、視線は向いていて。

ネットでも開いて暇潰しをしようと思っていたのに、気が付けば『アルバム』と書かれたフォルダについ目がいってしまい、なんとなくクリックしていた。

そのフォルダ内は、日付ごとに更にファイルが小分けされていて。

なんでも見ていいとは言われていても、なんだかいけない事をしているような変なドキドキ感に襲われる。

少しだけなら……なんて自分に言い訳をしながら、手始めに日付が一番古いファイルを開いてみた。


そこには、いつも遥が撮っているような風景や草木の写真から始まり、なんの変哲も無い玄関に置いてある靴や洗面台の歯ブラシ、窓から見える外の景色、ベッドやソファまでもが角度を変えて大量に写っていて。

てっきり、元カノの写真とかがあるものだとばかり想像していた私は一気に拍子抜けしてしまったけれど、同時に少し不気味に感じて、つい眉間にシワを寄せてしまった。




……なんで、こんなの撮ってるんだろう。




一緒にいる時常に写真を撮っている彼に、前に不思議に思って一度聞いた事があった。風景や草花、人間を写すなら私にも分かるけれど、彼はそれだけでなく、何の変哲も無いものさえも全て写真に撮っているのだ。


でもその問いに、彼は曖昧に笑い『趣味』だと答えるばかりで。


その時の私は特に何かを思う事もなく、そういう趣味もあるんだな、ぐらいに思っていたけれど。


……この量は、明らかに異常だ。