「……私、ハルちゃんとは異母兄妹なんです」


そう言って私をジッと見つめる彼女の視線に、微妙にだけれど敵対心のようなものが感じられて、一気に手のひらにジワリと汗が滲んだ。

異母……兄妹って事は、血の繋がりはある……んだよね?

彼女の言葉を心の中で何度も咀嚼しながら、視線を逸らさず黙って彼女を見つめ返す。


……だったら、なんなの? 彼女は何が言いたいの?


少しの混乱と彼女の態度の変化に、なんだか無性にイライラして来た。


「私は……、父の愛人の子なんです。だから、私が十歳になるまでは、相良とは関係ない場所で母と二人、静かに暮らしていました。だけど母が病気で亡くなると……父が私を迎えに来て、私の生活は一変しました」


冬香さんの一人告白のような話を聞いていて、自分は冷たい人間なのだと思った。だって、


だから、何? 何が言いたいの?


そう思っては、イライラが増していくのが自分で分かるからだ。

彼女の今の雰囲気からして、言わんとする事がなんなのか。

───分かりたくもないのに……分かってしまう。