───だけど。


次の日から遥の、猛アタック(という名のストーカー行為)が始まった。


仕事帰りは当たり前の様に毎日待ち伏せされているし、教えたはずのない私の好きなケーキ屋さんのケーキや、好きな花を毎回プレゼントされるし、何故か教えたはずのない携帯の番号まで入手していて(彼曰く、私の同僚に聞いたらしい)、休日は朝から呼び出されてデート(という名の拉致)三昧。

……正直彼と知り合ってから、彼を見ない日が無いっていうくらい毎日顔を合わせていて。


あまりのしつこさに、私は騙されまいと二ヶ月踏ん張ったけれど、遂に彼に陥落してしまった。

元々遥は顔が素晴らしく整っているのだ。
二ヶ月も甘い言葉で口説かれれば、落ちない女は多分……いないだろう。


そんなこんなで彼と晴れて恋人にはなったけれど、流石に知り合って二ヶ月で結婚までは考えられなくて。

遥も流石にそこは分かってくれて、お付き合いから、という事で(でも絶対結婚前提の)交際が始まった。



付き合ってからの遥も、当然甘々で。

彼の愛情が、少々(いや、かなり?)重い気はしていたけれど、なんとか半年は交際が続き。

その頃には私も、流石に詐欺では無いだろう、と思えるようになっていた。

でも何故か、私の日々全ての行動を知っているかのような彼の言動に妙な不安を抱きつつも、いや、正直、引っかかる事だらけだったけれど、“彼氏”という存在が初めての私は、それなりにまぁ、幸せだと思っていた。


───あの瞬間までは。