私が少しにやけながら携帯の画面を見ていると、同期の優香が紙パックのコーヒー牛乳を飲みながら画面を覗き込んで来た。


「うっざいわーこのバカ夫婦。私にも幸せ分けろ!」

「う、わっ!ちょ、優香!声でかい!」


優香の声に反応して、食堂にいた数人がこちらをチラチラ見てくる。

恥ずかしくて、少し俯きながら食事を再開していると、優香が食べ終わったトレーを奥に押しやり、机に突っ伏しながら呻き声を上げた。


「いいなーいいなーあんなイケメン旦那!しかも嫁を溺愛とか。少女漫画の世界かよ、クソうぜぇ」

「……アンタそんなんだから、ダメなんだよ」


隣の優香の言葉に苦笑いしながら、お茶を一口飲んだ。

同期の優香は、同性からみても可愛い。しかも受付という仕事上、これまた良くモテるのだけど……口を開くとこれだ。

根は良い子なのだけど、なんせ口が悪い。
まぁ、サバサバしていて、私は付き合いやすいので嫌いではないのだけど。


「はあぁー。本っ当、相良さん羨ましい。ウチの会社でも狙ってる奴結構いたんだよ。でもめっちゃガードが固くって!それなのに嫁にはコレだもんねぇ。夏美、クソムカつくからなんか奢れ」

「無理。却下」


優香といつものやり取りをしながら、今日の晩御飯は何にしようか考える。

多分帰りは遅いだろうから、簡単にサッと食べれて胃もたれしないような物にしよう。

遥の喜ぶ顔を想像してまたにやけた私を、優香が「うっざ!」といいながらも、楽しそうに笑って私の頬を摘んだ。