遥はそれらの事をあまり詳しくは話さず、サラッとまるで簡単な事の様に説明してくれたけれど。
―――……あれだけ大きな財閥なのだ。きっと、今に至るまでの間、相当色々揉めたのだと思う。
「せっかくだし、上がって行かないか?」
遥が再度私を抱き寄せながら、冬香さんに笑顔で小首を傾げた。
それに合わせて、私も笑顔で数回頷く。
けれど、一瞬何かに気を取られたかのように止まっていた冬香さんが、慌てて笑顔で首を振った。
「ううん、今日は少し顔を見たかっただけだから。また今度、ゆっくりお邪魔するね」
そう言って、彼女は私にもう一度ペコリと頭を下げると、足早に行ってしまった。
しばし無言で彼女の後姿を二人で見ていたけれど、ふと気になって遥の顔を見上げた。
すると私の視線に気付いた遥が「ん?」と、可愛く小首を傾げて来たので思わずホッとする。
さっきの会話の内容からして、久しぶりの再会だったのだ。
普段、自分の事を殆ど話さない遥だから、きっと口に出しては言わないだろうけれど、彼女ともっと話していたかったはずだ。
だから、露骨に寂しそうな顔をしていたらどうしようと一瞬焦ったけれど、いつもと変わらない遥に何故だかホッとした。
……妹さん相手に嫉妬してしまうなんて、本当に自分は心が狭いな……と、思わず苦笑いが零れる。
―――……あれだけ大きな財閥なのだ。きっと、今に至るまでの間、相当色々揉めたのだと思う。
「せっかくだし、上がって行かないか?」
遥が再度私を抱き寄せながら、冬香さんに笑顔で小首を傾げた。
それに合わせて、私も笑顔で数回頷く。
けれど、一瞬何かに気を取られたかのように止まっていた冬香さんが、慌てて笑顔で首を振った。
「ううん、今日は少し顔を見たかっただけだから。また今度、ゆっくりお邪魔するね」
そう言って、彼女は私にもう一度ペコリと頭を下げると、足早に行ってしまった。
しばし無言で彼女の後姿を二人で見ていたけれど、ふと気になって遥の顔を見上げた。
すると私の視線に気付いた遥が「ん?」と、可愛く小首を傾げて来たので思わずホッとする。
さっきの会話の内容からして、久しぶりの再会だったのだ。
普段、自分の事を殆ど話さない遥だから、きっと口に出しては言わないだろうけれど、彼女ともっと話していたかったはずだ。
だから、露骨に寂しそうな顔をしていたらどうしようと一瞬焦ったけれど、いつもと変わらない遥に何故だかホッとした。
……妹さん相手に嫉妬してしまうなんて、本当に自分は心が狭いな……と、思わず苦笑いが零れる。