遥の声を頭上で聞きながら、私は顔を上げて立ち上がっている彼女に目が釘付けになった。

ドクドクドクッと、心臓が早鐘のようになり、一瞬呼吸の仕方を忘れてしまった程。


だって、そこにいた彼女は髪こそボブで短いけれど、



────私に……そっくりだ。



誰かが、世界に三人は同じ顔の人がいると言っていたけれど、その一人は彼女なのではないかと思えるくらい、彼女は私に似ている気がした。

双子でも無い限り、“そっくり”なんてあり得ないと思っていたけれど、彼女は本人である私から見ても似ていると思った。

そう思ったのは私だけではないようで、彼女もまた、私を見て驚いた表情をしている。


両親や育った環境は勿論違うので、隣に並ぶと多少は違うのだろうけれど、それでもパッと見はそっくりだと思った。

私が彼女から目が離せずに固まっていると、遥がサッと私の側から離れ、目の前の彼女の側へと駆け寄った。


「冬香、なんでここに……?いつロンドンから戻ったんだ?」


そう声を掛ける遥は心配そうにはしているけれど、心なしかどこか嬉しそうにも見えて。

それに、直ぐに私から離れて彼女の方へと向かった遥の行動にも、なんだかショックを受けている自分がいた。