遥は私に関する事は全力で取り組むけれど、彼自身の事になると無頓着で。

だからなのか、彼自身の事はあまり話したがらない。
というか、どうでも良さげだ。




帰りにスーパーで買い物をしながら、カートを押す私の隣で、遥がソワソワしながら私をチラチラ見てくる。


「……何?どうかしたの?」


どうせろくな事ではないんだろうな、と思いつつも遥に問い掛けると、案の定彼は瞳をキラキラと輝かせながら満面の笑みで私を見た。


「あのね、カートを押すなっちゃんの背後を覆うように俺がカートを……」

「無理。却下」

「えぇ!?そんな……!俺まだ全部言ってないのに、」

「私を囲いながらカートを押したいって言うんでしょ?絶対嫌。どこのバカップルよ。そんな事したら、二度と遥と一緒に買い物しないから」

「えぇ!?だってなっちゃんと買い物なんて久々なのに……!でも、一緒に買い物行けなくなるのはもっと嫌だから我慢する……」


隣であからさまにションボリ項垂れる遥に、思わず苦笑いが零れる。

確かに最近は遥の仕事が忙しくて、一緒に買い物に行く頻度が大分減っていた。

元々遥は営業で帰りは遅かったので、買い物は私一人でしていたのが常だったから、そこまで気にした事はなかったけれど。

遥にとったらそうでもないらしく、結婚してからは特に、買い物やご飯の準備を私だけがしている状況が心苦しかったようで、朝ご飯とお互いの休日が一緒だった日のご飯だけは、遥が作ると言い出したのだ。