変な緊張で固まる私を、「なっちゃん?どうしたの?」と、遥が心配そうな表情で見てくる。

……どうしよう、そんな顔で見られたら余計焦る。

だけど恥ずかしさに負けて遠回しに伝えたとしても、伝わらなかったら意味がない。

───だったら。

意を決して遥を見るも、この世のものとは思えない程綺麗に整った彼の顔を前にして、自分なんかの想いを口にする事が堪らなく恥ずかしく感じて、頭が一瞬で真っ白になった。


「……あ、え……と。私………はる、か、と……」

「うん?」


遥が小首を傾げつつ真剣な表情で見てくるので、ついに恥ずかしさに負けて目を泳がせた。

……だけど、言わなきゃ。


「イ、……イチャイチャっ、したい……です……」

「……え?」


遥が先程よりも更にポカンとした表情で私を見る。


…………もうダメ死にたい。


あまりの恥ずかしさに顔から火を噴きそうで、すぐさま俯けた顔が上げられそうにない。

なんで私、あんな直接的な言い方にしちゃったんだろう!?
もっと他にも、言い方はいくらでもあったのに……!!

自分の語彙力のなさにゲンナリしつつ、さっきみたいに噴き出してくれたらまだ救われるんだけど……と、何故か黙りこくっている遥をチラリと見上げると、いまだにポカンと目を見開いている遥と目が合った。

……だよね、そりゃポカンとしたくもなるよね。
そう焦って他の言葉に言い換えようとすると、みるみる内に遥の顔が真っ赤に染まっていくのが見えて。

その様子に、今度は私が唖然としてしまった。


「あ……や、え!?今のって……えっ!?」


私に掴まれていない方の手で遥は口元を覆いながら慌ててそう告げると、更に首まで真っ赤に染まっていくのが見える。

今はきっと私よりも真っ赤になっている遥が、涙目になりつつ焦っている姿があまりにも可愛くて、私の方が勢いよく噴き出してしまった。




────……愛しいなぁって、思う。




冬香さんには申し訳ないけれど、どんな遥も微塵も譲れない。

この先もずっと、その想いは絶対に変わらない。
───彼の首にもう一度抱きつきながら、そう、強く思った。