「ち、近いっ!!お願い、もうちょっと離れて!」


あまりにも恥ずかしくて思わずそう叫ぶと、「あっ……ゴメンッ」と、遥が慌てて離れて行く。

あ……しまった。と指の隙間からチラリと遥の方を見ると、案の定、遥がベッコリへこんだ表情でしょんぼりと項垂れるのが見えた。

あああ、やってしまった。
違うのだと、恥ずかしかっただけなのだと言いたいのに、それを言うのも恥ずかしくて。

でも、ここでちゃんと伝えなきゃ、また前と同じになってしまう。

私はそっと顔から両手を退けて、ゆっくりと上半身をベッドから起こした。

遥が少し驚いたように顔を上げて私を見るので、また恥ずかしくなって耳までジワリと熱くなるのが分かる。


「ち、違う、の。なんか……遥と、こうしてるのが、はっ、恥ずかし、くて……」


すると遥が目を大きく見開いたまま一瞬固まったかと思うと、途端に物凄く嬉しそうに目を細めてふわりと笑った。


「じゃあ、触れても、いい?」


コクンコクン、とドキドキし過ぎて小刻みに何度も頭を振ると、遥が「ふはっ」と噴き出して笑いながら、私の頬を両手で優しく包んで来た。

ゆっくり、遥の顔が近付いて来て、緊張もピークに達して来る。自分がドキドキし過ぎて、鼓動が遥に伝わってしまっているんじゃないかと恥ずかしくなる。

ふわり、と唇に遥の唇が触れて来て、思わずぎゅっと目をつぶった。すると、緊張のあまり口までぎゅっと硬く閉じてしまっていたようで、遥の小さく笑った息が唇に触れて、ドクン───、と大きく心臓が跳ねた。



「───なっちゃん、口、開けて?」



色を含んだ遥の言葉に、これでもかという程鼓動が速くなる。