………興信所?

それって───、


意味を理解した瞬間、ゾワリと全身に鳥肌が立った。


あり得ないあり得ないあり得ないっ!!!
興信所は、今や探偵事務所のようなものだ。そんな所を使ってまで私の事を調べていたなんて……!!

道理で遥は、私の日々の行動を知っていたはずだ。
どこまで調べていたのかなんて、怖すぎて聞けない。それどころか、今の今でさえも、誰かに見張られているのかもしれないと思うと、激しい動悸と眩暈に吐き気がする。


「……あっ、あり得ないっ!!!遥、普通じゃないよっ。私、もう無理だと思うっ、別れたい!!」


思わず恐怖と怒りで、場所も忘れて大声で叫んでしまった。

写真だけでもモヤモヤが残っていたのに、探偵を使ってまで調べられていたなんて……!

……この人は、本物のストーカーだ!


これ以上話しても、きっとらちがあかない。
最後の別れとしては後味が悪いけれど、こうなったらこのまま言い逃げてしまうしかない。

私がバッグを持って立ち上がると、すかさず遥に腕を掴まれた。


「……別れるなんて、絶対に許さない。そんな理由で俺から離れるなんて、俺が納得すると思う?やっと捕まえたのに」

「……!」


今まで見た事もないような冷徹な表情で遥に睨まれて、思わず身体が竦んでしまい声も出せない。