「へー!なるほど、そういうことだったのか!
さすが有村、わかりやすいね!」
茜くんは郁人くんにもちゃんと教えてくれて、私たちふたりだけでやっていた時よりも倍くらい進んだ数学。
うん、なんだか大丈夫な気がしてきたかも!
と、机の上に置いてあった郁人くんのスマホが鳴って、郁人くんが電話に出る。
一瞬見えたディスプレイ、女の子からの着信だったな。
「もしもし〜。あっ、マリナ?まじ?
わかったすぐ行く!」
電話の向こうの誰か…マリナさん?と喋ってから、郁人くんは帰り支度を始めた。
「ごめん、ちょっと女の子に呼ばれちゃったから俺帰るわ!有村ありがとうね!」
「あっうん、ばいばい!」
バタバタと食堂を出て行く郁人くんに手を振ると、にこっと笑って振り返してくれた。
「行っちゃった…」
「まあいいだろ、続けるぞ」
「はい!」
結局、2時間くらい勉強して。
外は夕焼けから夜空に変わろうとしていた。