「……お前、今日もアイツと勉強するの」



アイツ?と首をひねるけれど、すぐにいつも勉強している郁人くんだと気づく。



「多分そのつもりだけど…」

「…俺も行く」

「へ……勉強会?それは助かるけど…いいの?
茜くんも自分の勉強あるんじゃ…」

「俺はテスト前に焦るタイプじゃないから」

「あ、ありがとう…!」




どうして急に教えてくれる気になったのかは、よくわからないけれど。

大好きな、しかも特進科の茜くんに教えてもらえるならそれに越したことはない。








「というわけで、茜くんが教えてくれることになりました!」



いつも通り、放課後の食堂で、郁人くんに茜くんを紹介すると、郁人くんは驚いたように目を見張った。


「すごいじゃん桃ちゃん!
特進科でもトップクラスの有村に教えてもらったら、俺ら最強じゃない?」



「……いいから早く進めるぞ」



茜くんは、テンションの高い郁人くんにあからさまに眉をしかめて、勉強を始めた。