「そっちこそ。何でそんなに必死になって勉強してるわけ?」
茜くんのもっともな疑問に、うっ、と言葉に詰まる。
「て、テスト前くらい私も勉強するよ」
「昼休みまで勉強するようなタイプじゃないだろ」
「……」
疑いの眼差しを向けられて、次第にうつむく。
そのとおりだ。
どんなに切羽詰まったテスト前だって、昼休みまで使って勉強したことはない。
「……から」
「ん?」
「次赤点とったら、留年しちゃう、から…」
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で呟いた私に、驚いたように目を丸くする茜くん。
いたたまれなくなって、すっと目をそらす。
「…え、そんなにできないの?」
「う、うん…」
ああもう、最悪だ。
ばかだってバレた。きっともう、茜くんに好きになってもらえない。
茜くんはきっと頭が良くて美人で大人っぽい、雪音ちゃんと仲良くなっていくんだ…。
「…教えてやるよ」
「へ…」
「自分じゃできないんだろ。
…まあ、あの金髪と一緒に留年したいならいいけど」
少し拗ねたような、茜くんの表情。
金髪って、郁人くんのこと…?
なんで茜くん、郁人くんのこと気にするの…?