「はぁ…」


次の日の昼休み。
私は高校に入学して初めて図書室に来て、数学のノートを開いている。


郁人くんと勉強するのは放課後だけれど、それだけじゃ足りないと思って昼休みも勉強しに来てみた。


だって頭が良くなったら、茜くんの好みに近づくんじゃないかって。

まだそんなことを考えている自分が、ばかみたいで恥ずかしいけれど。




でも、全然わからない。

きっと雪音ちゃんなら、こんなことにならないんだろう。

雪音ちゃんなら、茜くんに恋愛対象として見てもらえるのかもしれない。



頭が良くて、美人で、大人っぽい。

それってそのまんま、雪音ちゃんのことじゃないか。
…ばかな私だって、気付いちゃうよ。



茜くんの好みのタイプが、私への当てつけだったのか、雪音ちゃんへのアピールだったのか。

そんなの私にはどちらなのかわからないけれど。



それでも私のこと、好きじゃないってことだけは確かだ。