「おい、茜。
さすがに可哀想だろ」
要くんが私を庇ってくれるけれど。
でもそこで可哀想だって言われたら、私はやっぱり客観的に見ても茜くんとは釣り合わないんだなって、実感してしまう。
「別に、俺のこと本気なわけじゃないだろ」
茜くんに、何言われたって大丈夫だけど。
からかわれるのだって、なんだか少し近づけたような気がして嬉しかったけれど。
それでもその言葉だけは、笑っていられなかった。
「…なんで、そんなこと言うの」
「他の男と毎日勉強してるじゃん。
あの金髪の方がお似合いなんじゃねえの」
「っ…郁人くんは、そういうのじゃないもん」
「へえ。知らないし興味ないけど」
「……っ、帰る」
じわり、と瞳の奥が熱を持って。
悔しくて、寂しくて、惨めで、ばかみたいで。
私のこと、助けに来てくれたから。
心配してくれたから。
だからちょっとくらい私のこと好きなんじゃないかって、期待してたんだ。
それに気付いてしまって、気付いてしまったことが何より惨めで。
慌てる要くんたちにくるりと背を向けて、購買会を出た。