「よかったら一緒に勉強しない?」



ひらひらと数学の教科書を見せる郁人くんに、パアッと顔を明るくする私。


「したい!」

「よーし!じゃあどうしようか…食堂とかでいい?」

「うん、行こう!」



よかった、1人じゃなくなった!

相手が赤点仲間の郁人くんだってところが少し頼りないけれど、1人でやるよりも2人いた方がわかるところも少しくらいは多くなるよね…!



「…ちょっと、桃!」
「いつのまに櫻木郁人と仲良くなったの!?」


さあ行こう!と、バッグに荷物を詰め込んで郁人くんのところに行こうとしたら、ユリとスミレにこそこそと話しかけられる。



「郁人くんも赤点仲間らしくて…」

「あっ……なるほど」
「まあ大丈夫だとおもうけど、櫻木郁人はチャラくて女好きってことで有名だから、気をつけてね!」

「あはは、私は大丈夫でしょ!」


心配そうなふたりに笑って手を振って、郁人くんのところに向かう。