『どこ行きやがった?
あいつ!』



捜さなくては!


例え、俺の身にどれだけの危険が降りかかろうとも・・・

拓海にだけは、絶対に万が一は起こせない!

泉の、鬼のような形相が頭に浮かび
慌ててそれを振り払う。


『拓海!』



名前を呼んで、辺りを見回す



『いた・・・!』



そこには、柵にへばりついてライオンを見上げる拓海の姿



『コラ!勝手に離れたらママに言い付けるぞ、拓』



背後に周り、耳元で囁くようにそう言うと



『怖い事言うなよ!』



拓海はびくりと飛び上がり俺を振り返った


眉間にしわを寄せ、呟く五歳児・・・。



『なぁ、ママっていつもあんななのか?』



もしその答えがYESなら

兄貴と拓は
あの強烈な緊張感の中、日々を過ごしているということになるのだが?