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てなわけで、やって来たのは十数年振りの動物園


泉と交わした約束は
守らなければ即ち死を意味する・・・

俺は、拓海の手を引いていそいそと中へ足を運んだ



『凄い人だな・・・』



休日の動物園。
当たり前だけど、そこは家族連れで大盛況!


そんな中を、男二人で歩く俺たちに
心なしか注がれる同情の視線


妻に逃げられた男とその子供みたいに思われているのかと思うとなんだか侘びしい


父親にしてはいささか若すぎだろ?と言いたくもなるけど


泉にこき使われるようになって、確実に老けた気がするから


親子に見えても不思議じゃないなと思い直す



『ね、シュウ兄!
次はライオンが見たい』



拓海は、五歳らしい無邪気な笑顔でそう言うと、
坂の上のライオン舎へ向かい、一直線に駆け出して行った



『あ、コラ待て!』



人混みの中をすり抜けて走る拓

俺は、見失なわぬよう慌てて後を追った