現代っ子らしい生意気なところもあるが

あの“泉”の息子にしては穏やかな性格の持ち主で、何はともあれ可愛い俺の甥。



『ね、シュウ兄、耳貸して?』



小声でそういう拓海に、しゃがみ込んで耳をかすと



『ママ、今日はお友達とバーゲンなんだって!』


って・・・・

成る程ね、今日はバーゲンか・・・



拓海と二人でリビングに入ると、既にどっかりとソファーに腰を下ろしていた泉が

あくびをしながらこう言った。



『シュウ!あんた今日、拓と動物園ね!』



『は?動物園?』



『チケット二枚貰ったから、ここ、連れてってきて!』



泉はカバンから取り出した動物園のチケットを
サイドテーブルに“バン”と叩きつけると



『はぁ〜、じゃああたし行ってくるから』



あと頼むわよ!


かったるそう首を回しながら、泉は部屋を出て行った

毎度の事とはいえ、取り残される男二人。

俺と拓海は顔を見合わせて、大きなため息を吐いた