「いやー、どうなるんだろー?」
と不安げに呟いて、

「ほんとに、なんにも決めてないの?
 なんで結婚したの? 勢い?」
と問われてしまった。

 うう。
 まあ、ある意味、と思っていると、
「ま、結婚って勢いなのかなとは思うわよね。

 チャンスがあるときには逃さないことよ。
 すぐにお互い気が変わっちゃったりもするしね。

 適当に結婚した方が意外と長く続くとかいうし」
と言ってくれたあとで。

「でも、えらく急いで結婚したものね。
 この間まで、付き合ってる風でもなかったのに。

 ……もしや」
とお腹の方を見るので、

「いや……手もつないでな……

 いや、握られたか。

 包丁つかんで、手を切られそうになったときと、パクチーの匂いを嗅がされたとき」
と思い出しながら、呟くと、

「なにそれ、どんな危険な男?」

 っていうか、私、包丁より、パクチーの方が怖いわ、と千佳は言ってくる。