その日のお昼過ぎ。担当したお客様が帰るのを見送った後、店内に戻ると慌ただしい雰囲気が店内で見られた。いつもはゆったりとしているため、とても珍しい事だった。

 何事かと店の奥まで近くまで行くと、ちょうど一人のスタッフと話をしているところだった。
 

 翠は聞こえて来た言葉を耳にして「魔法の言葉だ、、、。」と、思ったことが無意識にポロリと口から出てしまう。
 久しぶりに聞いた言葉に惹き付けられるように、そのお客様のところに、翠は歩いていった。


 『お話し中、失礼致します。』


 そう声を掛ける、が、それは日本語ではなかった。対応していたスタッフは驚きながら翠を見つめていた。


 「ここは、私に対応させてもらえませんか?」
 「あぁ、、、助かるよ。」


 そう言って、スタッフはお客様に深くお辞儀をして、翠の後ろに付いた。