「ギリシャに行きたいって事もあります。けど、1番は私も大好きなギリシャの勉強をするチャンスだと思ったんです。祖母が育った場所をしっかり勉強して、それから国へ行ってみたいって。だから、やることに決めました。」
「、、、それは、俺も責任重大か。」
「え、、、?」
独り言のように、色は何かを呟いたが翠にはその声は届かなかった。だか、翠への言葉だったわけではないようで、色は話を続けた。
「じゃあ、おまえの仕事のある日の夜にやることにするがいいか?週5だ。なるべく早く覚えたいからな。」
「わかりました。」
「じゃあ、仕事終わりに向かいに来る。場所は俺んちでいいな。」
「、、、よ、よくないですよ!」
思わず大きな声で反論してしまう。
それもそうだ。知り合って間もなく、恋人同士でもない男女が、片方の家に行くのは、あまりにも突拍子もない考えだろう。
「冷泉さんは、ご結婚されてます?」
「してない。」
「御実家暮らしですか?」
「、、、そんなはずないだろ。実家は京都だ。」
「一人暮らしですよね?」
「お前なんなんだ?なんだ、文句でもあるのか?」
連続して質問したせいか、色の顔に少しずつ怒りが見えてきた。自分の考えを突っぱねられて、不機嫌になっているようだった。
「あの、冷泉様。やはりおうちに行くのは不味いと思います。結婚前なので、お互いに、、。冷泉様も変な噂がたつかもしれませんし。」
「、、、なるほど。俺に襲われるのが心配なのか。」
「っっ!そんなことでは、、、。」
「そんな事を考えるなんて、お前、仕事するんだろ。」
「考えてませんよ!」
「襲って欲しいなら言えば考えなくもない。」
そういうと、色はゆっくりと翠に近づき、何故か翠と同じソファに座ったのだ。しかも、かなりの近距離だ。