予想外の話で、翠は思わず声をだして驚いてしまった。何か仕事を手伝って欲しいというお願いかと思ったが、色本人のお願いとは思っても見なかったのだ。


 「前にギリシャ人の客に話してるのを見てな。ギリシャに店を出すなら多少は話せるようになりたいからな。」
 「それなら、本当の教師に教えてもらった方がいいのでは、、、」
 「おまえのギリシャ語が綺麗だったんだ。一目惚れした。」


 先ほどとは違って、真剣に話をする色の目を翠は、まっすぐに受け止めた。
 自分の言葉が綺麗だと言われたのは、とても嬉しかった。翠は祖母の言葉を魔法の言葉と言うぐらいに、尊敬しており、綺麗だと思っていたのだ。
 それを真似て覚えたギリシャ語を褒めて貰えたのは、嬉しいことだった。

 だが、自分のギリシャ語は祖母に教えてもらった後は独学のものであり、誰かに教えられるような物でもなかった。ましてや、大企業の取り引きに使える物なのだろうか?
 それが一番の不安だった。