「では、、、。」


 7日後にお待ちしております。と、伝えようとした時だった。

 「やっと、本題に入れるな。仕事の話はおしまいだ。」 

 色は、ニヤリと微笑むと、今まではソファに姿勢正しく座ってたが、その言葉を発した途端に、背もたれに体を預け、足を組んで座り始めたのだ。着物の裾から素足がちらりと見えてしまい、相手が男なのに翠は少しだけドキッとしてしまった。色の色気のせいだろうか。
 あまりの凶変ぶりに翠は呆気にとられてしまい、言葉が出なくなっていた。


 「あんたと取引がしたい。」
 「、、、え?」
 「悪い話ではないから、聞いてみないか?」
 「それは、one sinとは関係のない事ですか?」
 「おまえ自身との取引だと言っただろ。」


 先ほども思ったように傲慢な男だと、改めて思った。取り引きの内容など気になるはずもない。
 まずは、彼の目の前から逃げることが先なのだ。翠は、この数分で彼のことが苦手だと思ってしまった。


 「冷泉様。ここはone sinのお店ですので、他の取引のお話はお聞きできません。」
 「なら、おまえの仕事終わりに迎えに来る。」
 「それは、、、。」
 
 店の外で男性と会うのは、あまり好ましくなかった。それに、今まで関わりがなかった人と急に出掛けるのは気が引けてしまうのだ。
 仕事中だとはわかっていたが、色はきっと引いてはくれないと、「話だけ、でしたら。」と、彼の話を聞くことにした。