色は翠と話がしたい、と言っていたがそれが嘘のように普通に買い物をしていた。仕事のためなのか、話している時も真剣で、先ほどの行動が信じられないほどの好印象だった。
無事に終わるのでは?と思いながらも、翠は気を引き秘めて部屋に戻った。
「お待たせいたしました。タオルは、こちらの3種類ございます。ハンカチは、着物のような明るい物が多く、10種類以上ございます。」
そう言って、大きなテーブルに並べると、「ありがとう。」と言ってひとつひとつ手にとって確認していく。翠は、商品の特徴を細かく伝えていった。
全て見終わった後、色は「このタオルにしよう。手触りがとても良い。」と絶賛してくれた。
「かしこまりました。こちらは、何点ご希望でしょうか?」
「そうだな、、。20、いや30は欲しいな。可能か?」
「こちらの店舗で10個ですが、取り寄せすれば可能ですが、お時間がかかります。1週間後でも大丈夫でしょうか?」
「あぁ、かまわない。一つ一つ包んでくれ。」
「かしこまりました。」
しずくは、購入や取り寄せのメモを取って、色に代金と取り寄せの用紙を渡した。
すると、色は翠をじっと見つめてる。表情はどこか遠くを見るような、切なげなものだった。
「冷泉様?、、、大丈夫ですか?」
「っっ!、、、いや、何でもない。」
少し呆然としていたのか、色はハッと驚いた表情したが、すぐにいつものにこやかな顔に戻っていた。