「俺はおまえが探していた人だったから、好きになったわけじゃないんだ。おまえを好きになったんだよ。翠……おまえが好きなんだ。だから、翠の答えを教えてくれ。」
 「………冷泉様、初めて私の名前を呼んでくれましたね。」
 「……そうだったか?」
 「はい。」


 翠は、色の右手に片手を乗せながら、溜まっていた涙を一粒溢した。
 しかし、それは今までの悲しい涙ではなく、嬉し涙なのだ。


 「私は、冷泉様に名前を呼んでもらえて感動しちゃうぐらいに、冷泉様が大好きなんです。告白した時から、それは変わる事がなくて。むしろ大きくなるばっかりです。………私を冷泉様のものにしてください。だから、冷泉様も私の………。」
 「あぁ、俺はおまえのものだ。」


 色はそう言うと、翠の目を見つめながら顔を近づけて、唇を堪能するかのように、ゆっくりとキスをした。

 恋人同士になってからのキスは、何もかも違う。今までよりも甘くて、幸福感に満たされ、そして彼の熱で安心し、同時に熱を高めてくれる。

 お互いに唇を味わうように深くキスをすると、翠の口からは吐息と切なげな声が漏れる。
 その声を聞いたからなのか、色は先ほどよりも荒く口づけをすると、そのままソファに優しく押し倒した。


 「れっ、冷泉様っ!?あの、ちょっと待ってくださいっ!!」
 「もう沢山待ったんだ。これ以上は我慢できなち。」
 「そんな………ここソファですよ?」
 「ここじゃなきゃいいんだな。」
 「……えっ………きゃぁっっ!」


 色はニヤリとした笑みを浮かべると、翠の腰に腕を入れて、ふわりと抱き上げたのだ。急に色に抱っこをされてしまい、驚きと少しの怖さから、色に抱きついてしまう。


 「そうだ。暴れると落ちるから、しっかり掴まってろ。」
 「冷泉様…………。下ろしてくださいっ。」
 「無理だな。」