「華宮 雛凛さん。昨日は大丈夫でしたか?」

誰か分からない人が、雛に優しく話しかける。

雛にそんなこと言っても、わかんないよ笑笑。

「え?昨日、ですか?」

「繁華街であなたにそっくりな人が、襲われそうになっていたもんですから、」

いや、雛はきっと知らないって言うだろう。でも、ここであたしが出たら変なこと

になるだろう。

制服からして、雛と同じ高校っぽいし。

雛は高校では、双子の存在も、あたしの存在もないことにしている。

だから、きっとあたしが出たらダメなはず。

「私、そんなの分かりませんけど……」

ここで、そうだ。なんて言っても、悪い方へ行くだけだと思う。

「そうですか。すいません。送っていきますよ、学校まで。」

確かに、今から歩いても間に合わないとおもう。

優等生として生きている雛にとって、あたしはなんなのだろう。

「え、結構です。歩いていくので。」

お願いします、というかと思ったけど言わなかった。

だって、あたしも雛も利用できるものは利用するって言う性格がある。

なのに、とお願いしなかった。

でも、きちんと考えれば雛がそのイケメン集団と絡んだって知れ渡ったら雛が大変

そう。