名前を名乗らない族……?

そんにおかしな話があるもんなんだな。

そんなにも自分たちの情報をばらしたくないのか、どうなのか分からないけど。

でも、族に入っているということは言うってほんとおかしいような気がする。

雛はお皿を洗い終わったようで、タオルで手を吹いている。

「あー、もう行かなきゃー!」

雛は慌ててそこら辺をかけまわり、支度をする。

あたしは雛みたいに焦る必要はない。

だって、あたしは時間が遅いんだから。

「姫凛、あとはよろしくね!」

すると、髪を手で梳かしてバッグを持つ。

「あ、うん、」

あたしが言い終わる前に、静かだったリビングにピンポンと、インターホンの音が

響いた。

あたしはインターホンを押した人を確認する。

「……え、、?」

玄関からは、雛の戸惑った声が聞こえる。

画面に映っていたのは、昨日あたしと繁華街で出会ったひと。

「あの、どうしたんです、か?」

雛が質問をしている。なんでこんなところに?

もしかして、雛にようなのかな?