あたし達は似ている。そして、似ていない。だからハッキリとしたことはあんまりわからない。……どこが似てて、どこが似てないぐらいの認識。

「……でも、あの日あなただってなんであそこにいたの?」

「………なんで、でしょうね」

彼はそうはぐらかすと、屋上に戻ったみたいだった。




彼は……聖はまだあたしを忘れたままなんだろうか。

あのときの、優しく、甘く、低いあの声で呼んでくれることはもうないのだろうか

『姫凛…』

優しくあたしの名前を呼んで、優しく手を伸ばす。

今はそれは全て、掬に向けられている。

あの日、全てが終わった。




ふと、あたしの頭に、誰かの手がのった。

「…玻取?」

「姫凛に学校のこと、詳しく説明しろって。ほら、行くぞ」

学校の中を案内してくれるということだろう。

「西塔とか東塔とかあるらしいけど、授業とかの教室って大丈夫なの?」

「たまに俺らもあっちへいかないといけない時もあるけど、ほとんどないから多分大丈夫だ。」

玻取はたくさんの糖分を摂取してそう。

高校というのは、あたしが想像してたのよりも自由だった。


そして、案内してもらっていると、授業を受ける琉成をみつける。

玻取とあたしの距離感は絶妙で、近くも遠くもなかった。

「……ねぇ、あなたたちってなんなの?」

案内が終わり、屋上に行く途中に確信をついた。

「………………それを聞いて、お前はどうしたいんだ」

「別に、ただの好奇心よ。知りたいのに理由なんかいらないわ。」

いつ雛と知り合い、いつからつるむようになったのか。

あたしにとって、雛は雛だけはいなくなって欲しくないから。

「なら、やめておけ。好奇心は蛇をも殺すっていうだろ」

「……うーん、それ正解なのかわからないわ」