あたしが必死で隠してる何かを、紫土に見透かされていそうで怖い。

「……俺は玻取だ。よろしく、姫凛。」

「うん、よろしく」

「瀬吏です。」

瀬吏は本当になにを考えているのか、分からない。

休憩時間に入ると、教室はますますうるさくなる。

といっても、うるさいのは櫂茉と陽楓が訳の分からないゲームをし始めるからで、周りは静かに喋っているか、こっちを見つめているかだ。

「……気分乗らねぇ。」

紫土が、低く、発した。その言葉に従って、まわりの人達は席をたつ。

それは雛も同じだった。

「……姫も、いこ?」

戸惑っていたあたしの腕を引っ張ってあたしを立たせ、連れていく。

「ね、みんなどこ行くの?」

「……屋上です」

瀬吏が答える。

紫土の言葉に反応して動くってことは、紫土が総長のんだろうか。

ここにいる雛以外のメンバーが、幹部かまたはそれ以上なのは安易にわかる。

「でもさ、どーして雛はこっちにいたのに姫は海外なの?」

「両親がわかれて、それからあたしは父親について行ったの。最近父親が亡くなって、身寄りがないあたしは雛の元にきたってわけ。」

「…なんか、ごめん」

聴き始めた陽楓が、申し訳なさそうな顔をして、こっちをみる。

「気にしないで。あたしたちもそんなに気にしてないから。」

両親がわかれて、海外に行ったというのは本当だけど、本当は……。

聖が、あたしを忘れてそのショックを受け止めきれなかった。

それに加え、忘れたのはあたしじゃなくて掬だって思っている。

それをみたあたしが、耐えきれなかった。

……だから、逃げたのだ。誰の目にも届かないところに。