「さん付けはいいって言ってんじゃん。で、きょうはどーした?報告?」

欠伸をしながら、あたしに質問してくる。

「類衣さん、あたしは自由になりたい」

「それって、ここにいたくなってこと?」

「……はい。やりたいことが出来ました」

そういうと、彼は顎に手を当て考え始める。

「……まあ、いいんじゃない?」

お許しがでたことだし、あたしはこれからのことについて、彼と話した。

「だけど、お前には”胡蝶”としてまだ働いてもらうぞ」

「はい」

今の立場を剥奪されなかったことが、うれしかった。

もう今日から自由でいいといわれ、あたしは帰って雛に報告した。

すると、昼休み高校の先生が話したいとの事。

自由が手に入った。だけど、実感はなくて少し怖かった。



彼は19歳。あたしは17歳。2つ上の、許嫁。

でも結婚をしたいのかというと、わからない。

せめて、あと1年、2年は考えていたい。


「あ、もしもし雛?ついたよ」

地図を見ながら校門についたあたしは雛に電話をかけた。

すぐに応答してくれて、校門にきてくれた、

もちろん、雛ひとりで。

職員室にいき、事情を話した。そして、テストをわたされる、

「姫凛、明日から行けるんじゃない?」

そういいながら、あたしたちは先生の話を聞いていた。

放課後、雛といっしょに帰ることになった、

「瀬吏たちはいいの?」

「あー、うん。きょうは用事って言っといたから」

帰り道を歩きながら、学校のことを説明してもらう。





これからあたしを待つ、耀かしいほどの未来。

それがどうなるのかは分からない。

だけど、闇のあたしを光が照らして──────。