教室にもどると、イケメン集団があたしに顔をだす。

「雛、どこ行ってたの?もー!探したんだからねっ!」

腰に手を当て、ぷりぷりする彼、陽楓。

このとき、あたしはなんで陽楓が雛と仲良くするのかわかった気がした。

2人は似ている。似ているからこそ、なにかに惹き付けられるのだろう。

……たけど、あたしと雛は、違う。

どんなにそっくりでも、決して埋められない壁がそこにはある。

「あんまうろちょろすんなっつただろ、」

「あだっ!」

紫土のこわぁーいお説教のあとの痛いデコピン。

びっくりして、女子じゃない声をだしてしまったじゃないか。

「ごめんなさい。」

……雛は、行動を制限されているのだろうか。

この人達と雛の関係は?

イケメンが好きじゃないっていった雛がこの人たちと仲良くする理由は?

玻取や櫂茉が何か、声をかけてくるけど、あたしには聞き取れなかった。

そんなあたしを、ひたすら見続ける”瀬吏”がいたようなきがした。

5時間目、6時間目と授業をうけた。

途中で居眠りをしてしまいそうになったけど、なんとかこらえた。

HRがおわって、帰ろうとするとすかさず瀬吏に引っ張られる。

「なにしてるんですか?いきますよ?」

あたしの苦手な笑顔と、貼り付けたような敬語。

これが二重人格者、望月 瀬吏だ。