■カフェ

病院内にあるカフェは、カウンターとテーブル席が4つ、コンパクトに作られている。

カウンター前では、カフェのマスターが調理をしている。

優と麻友子はカウンターに座った。

優「悩みって?」

麻友子「とりあえず、メニュー決めない?」

麻友子は、話すと長くなると思いメニューを決めてから優に悩みの相談をしようと思った。

優「そうだな」

麻友子の悩みは深刻なのか、疑問に思いながら優はメニューを選んだ。

麻友子「マスター、とりあえずコーヒーとエビカツサンド」

麻友子はここのカフェの定番メニューであるエビカツサンドが好きである。

マスター「まゆちゃんは、それね。で優くんは?」

マスターは、医者をしていたがこの病院を盛り上げたいと思い、カフェを始めた。

麻友子と優は、研修医からこのカフェの常連でマスターとも親しい関係である。

優「カフェラテで」

麻友子「少食だね」

優「麻友子が食べ過ぎなんだろ」

マスター「はいよ。それにしろ、お二人さん仲がいいね」

麻友子「ありがとうございます。」

優「……ありがとうございます。」

優は照れていた

マスター「じゃできたら来るね」

優・麻友子「はい」

マスターはエビカツサンドを作り始めた。
器用にエビカツを揚げながら、コーヒーの豆をこしている。

優「それで、悩みって?」

優が話を切り出した。

麻友子「この間運ばれてきた救急患者がね」

優「救急患者がどうしたの?」

麻友子「………『末期ガン』じゃないかって思って」

優「……」

麻友子の話を聞くと、性別は女性で、年齢は10代だという。

麻友子「その子、私が勉強教えていた子なの」

勉強がよくでき、無事第一志望に合格し今は大学一年生、首席を取れるくらいの実力があるらしい。

優「……つらいな。」

この言葉しか出ない自分に優は落ち込んだ。

麻友子「つらいのは、本人なんだけどね」

自分の教え子が末期ガン。この悩みを持つ麻友子にどう声をかけたらいいのか優は悩んでいた。

優「…………」

麻友子「優に聞いてもらって落ち着いた。よし話変えよう」

しぶしぶ麻友子は話を変えた

麻友子「かいと君元気?」

優「最近、発作ないし、バイタルも落ち着いてるしとりあえず、様子みて一時退院かな。」

麻友子「よかったね」

麻友子は笑った。まるで自分の弟のようにかいとの回復を祝ってくれる。そんな麻友子が優は好きなのである。

優「ありがとな。麻友子」

麻友子「私はなにもしてないよ」

お互いの近況を報告しあう優と麻友子であった。