「…できた。可愛い。鏡で見てみるといいよ。よく似合ってるから」
「ありがとうございます…」
そう言われて、鏡を見てみる。
私の首元には、可愛らしいハート型のチャーム。
そのチャームには、濃いピンクと淡いピンクのキラキラしたラインストーン。
たったそれだけ。されど、そんなに。
いつもとそこしか違わないのに、何だか生まれ変わったみたいだ。
「ありがとうございます…本当に…。可愛いです…!あ、ネックレスが…!」
「『ネックレスをつけた菜帆』が可愛いんだよ。ちゃんとそれ、学校でもつけてね。誰かに何か聞かれたら、『彼氏にもらった』って言うんだよ」
「…はい」
…少々恥ずかしい気もするけど、元からそう話すつもりだ。噓はつきたくないし。
こんなに可愛いネックレス、私には似合わないはずなのに。
でもやっぱり、嬉しい…なんて思ってしまう。これが『女の子だから』というものなのだろうか。何だか変な感じがする。
「あ、拓海さん。その…本当にありがとうございます…」
「どーいたしまして」
「私、こんな可愛いネックレスつけたのはじめてで…!というか、そもそも、アクセサリーつけたのはじめてで…」
「うん。なんとなくそんな感じはしてた」
「…そうですか」
何だろう、これ。ビミョーな気分。
『そんな感じ』ってどんな感じなんだろう…。
「よし、菜帆。さっさとご飯食べちゃおうか。このままだと、二人とも遅刻しちゃうからね。まぁ、その分一緒にいられるからいいけど」
「…よくないですね。早くご飯食べましょうか」
「はは。菜帆、バッサリだね」
「…そうですか」
だって、拓海さん相手に、毎回毎回まともに対応してたら、時間がいくらあっても足りないだろうから。