「ど、くせんよく…って…」

「菜帆のこと、好きで好きで好きで仕方なくて、独り占めしたくて、手出したら何するかわからないよ?ってこと」

「…それは、私もです」



その時は、何するかわからない…なんてことはないけど、きっと私は、ものすごく醜い人間になるのだろう。自分でも、嫌気がさすほど。


怖いな。

自分が、想像だけで、こんなに醜く感じるなんて。

恋って、こんなに人を変えてしまうんだ。



「菜帆。ちょっとすごく菜帆が可愛すぎて、朝なのにどうにかしたいんだけど」

「…」

「菜帆、ここにきてだんまり?沈黙は肯定って捉えるよ?」



コクン…と私が頷くと、耳元にあった拓海さんの口が、私の目の前にやって

――こない。


…と思ったら。



「…ひゃあ!」



耳元で感じる体温。

さっきみたいな、息の温度じゃなくて、直接触れたような…。



「ひゃう!」



構わず拓海さんが続けてくるので、思わず変な声が出る。


私の感覚が間違ってなければ…な、舐められた???



「菜帆、可愛い。止まんなくなりそう」

「こ、このあと学校です!」

「俺も仕事だね。やだなぁ。行きたくないし、行かせたくないなぁ」



行かなきゃダメだし、行きたい。

…このままじゃ、何されるかわかんないし……。


それに…



「ネックレス、つけて行きたい…」

「え?」



聞き返してくる拓海さんに、



「学校、行きたいです。拓海さんからもらったネックレスつけて…」