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「お、菜帆に八代くん。おかえり。…ラブラブなのは結構だが、修羅場になったりするのはやめろよ？」
「大丈夫ですよ、菅谷さん。俺は菜帆一筋ですから」
…拓海さんがそう言い切ったのを聞いて、不覚にも安心していた。
「菜帆は？どうなの？」
「…私は……恋とかよくわからないですけど…拓海さんは特別な存在です…」
「ほほ～。そっか。恋の悩みでも何でも、私に相談していいからね？」
「ありがとうございます…」
菅谷さんの、ちょっと企みをもったような笑顔にも安心した。
…私、シンデレラにでもなった気分だなぁ…。ここに来てから、色んなことがキラキラしてる。
「菜帆…俺、菜帆にとっての特別なの？」
「…そうですけど」
どこがどう特別なのか…と聞かれたら、すぐには答えられないかもしれないけど、拓海さんが特別ってことは、はっきりと言い切れるんだ。
…そこには案の定、嬉しそうな拓海さんが。
「それは？契約的なこと？同居人って意味？違うよね？わざわざそんなに照れてるってことは。精神的なことだよね？あぁ、最高」
「八代くん、キモいね」
菅谷さん、バッサリですね。
そして、聞こえてたのか聞こえてなかったのか、拓海さんはさっきから一人別世界に浸っている。拓海さん、帰ってきてください。
「拓海さん、部屋に帰りましょう。そろそろ」
もうこのセリフ、何度目だろう。
さっきから止まってばっかりいるから…。
「そうだね。早く帰ろう。そして存分にイチャイチャしよう」
「ちょっ…」
菅谷さんの前で、なんてこと言ってくれちゃってるんですか！
菅谷さんはニヤニヤしてるし！
…穴があったら入りたい。
今まさに、その言葉を使う時だと思った。
