「ピアノをひいてるのは貴方?」


後ろから声がした。


「え?そうだけど……」


「綺麗ね。何て言う曲?」

「カノンって言うんだ。それより君は誰なの?」


「え?私?」


一息置いてから彼女は答えた。


「私はこの桜の妖精。」



僕はびっくりした。いや、びっくりしないほうが可笑しいかもしれない。
だって桜の妖精だというんだから……


「君、なにいってるの?本当の名前は?」


「だから私は桜の妖精の花音です!」


嘘だろ……



僕はこの『花音』というワケわからない女から逃げようと、早歩きで今日は帰った。